生活習慣病

生活習慣病の心当たりはありませんか?

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生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)は、初期には自覚症状がほとんどないことが多く、症状が出たときには既に進行していることがあるため定期的な検査や簡単な自分でのチェックが大切です。
高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病は、自覚症状が少ないまま進行し、放置すると心臓病・脳卒中・腎不全などの重篤な合併症を引き起こす危険があります。
以下の症状に当てはまる方は、早期発見・治療のためにご相談ください。

生活習慣病の特徴まとめ

病名 自覚症状 初期症状 健康診断の数値目安 合併症リスク チェック項目
高血圧 ほとんどなし 頭痛(後頭部)
めまい
耳鳴り
肩こり
動悸
収縮期血圧130mmHg以上
拡張期血圧80mmHg以上
脳梗塞
脳出血
心筋梗塞
心不全
腎不全
□ 血圧が高めと言われた
□ 頭痛や肩こりが続く
□ 親族に高血圧の人がいる
□ 塩辛い食べ物が好き
糖尿病 初期は症状なし のどの渇き
多飲・多尿
体重減少
疲れやすさ、視力のかすみ
空腹時血糖126mg/dL以上
HbA1c6.5%以上
随時血糖200mg/dL以上
網膜症(失明)
腎症(透析)
神経障害(しびれ)
心筋梗塞
脳梗塞
□ 甘いものや炭水化物が多い
□ 運動不足
□ 家族に糖尿病の人がいる
□ 健診で血糖が高めと言われた
□ 水分を多くとることがある
脂質異常症 ほとんどなし 自覚症状はほぼなし
(気づきにくい)
LDLコレステロール140mg/dL以上
HDLコレステロール40mg/dL未満
中性脂肪150mg/dL以上
動脈硬化 → 心筋梗塞
狭心症
脳梗塞
□ 脂っこい食事が好き
□ 運動不足
□ お酒をよく飲む
□ 健診でコレステロールや中性脂肪が高め
□ 家族に心臓病や脳卒中がいる
メタボリックシンドローム ほとんどなし お腹の脂肪増加
体重増加
疲れやすさ
腹囲:男性85cm以上
女性90cm以上 +以下2つ以上
高血圧
糖尿病
脂質異常症が重なり
動脈硬化リスク増
→ 心筋梗塞・脳梗塞
□ お腹まわりが気になる
□ 運動不足
・血圧130/85mmHg以上 □ 食べ過ぎ・飲み過ぎが多い
・空腹時血糖110mg/dL以上 □ 健診で複数指摘あり
・中性脂肪150mg/dL以上 or
HDL40mg/dL未満
□ 睡眠不足・ストレスが多い
高尿酸血症 ほとんどなし 足の関節の痛み・腫れ・赤み
(痛風発作として現れることも)
尿酸値 7.0mg/dL以上 繰り返す関節炎(痛風)
腎結石
腎障害
□ 肉や魚などプリン体を多く摂る
□ お酒をよく飲む
□ 肥満気味
□ 家族に痛風の人がいる
□ 健診で尿酸値が高め
高血圧
自覚症状 ほとんどなし
初期症状 頭痛(後頭部)、めまい、耳鳴り、肩こり、動悸
健康診断の数値目安 収縮期血圧130mmHg以上
拡張期血圧80mmHg以上
合併症リスク 脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、心不全、腎不全
チェック項目 □ 血圧が高めと言われた
□ 頭痛や肩こりが続く
□ 親族に高血圧の人がいる
□ 塩辛い食べ物が好き
糖尿病
自覚症状 初期は症状なし
初期症状 のどの渇き、多飲・多尿、体重減少、疲れやすさ、視力のかすみ
健康診断の数値目安 空腹時血糖126mg/dL以上
HbA1c6.5%以上
随時血糖200mg/dL以上
合併症リスク 網膜症(失明)、腎症(透析)、神経障害(しびれ)、心筋梗塞、脳梗塞
チェック項目 □ 甘いものや炭水化物が多い
□ 運動不足
□ 家族に糖尿病の人がいる
□ 健診で血糖が高めと言われた
□ 水分を多くとることがある
脂質異常症
自覚症状 ほとんどなし
初期症状 自覚症状はほぼなし(気づきにくい)
健康診断の数値目安 LDLコレステロール140mg/dL以上
HDLコレステロール40mg/dL未満
中性脂肪150mg/dL以上
合併症リスク 動脈硬化 → 心筋梗塞、狭心症、脳梗塞
チェック項目 □ 脂っこい食事が好き
□ 運動不足
□ お酒をよく飲む
□ 健診でコレステロールや中性脂肪が高め
□ 家族に心臓病や脳卒中がいる
メタボリックシンドローム
自覚症状 ほとんどなし
初期症状 お腹の脂肪増加、体重増加、疲れやすさ
健康診断の数値目安 腹囲:男性85cm以上
女性90cm以上 +以下2つ以上
・血圧130/85mmHg以上
・空腹時血糖110mg/dL以上
・中性脂肪150mg/dL以上 or HDL40mg/dL未満
合併症リスク 高血圧・糖尿病・脂質異常症が重なり、動脈硬化リスク増 → 心筋梗塞・脳梗塞
チェック項目 □ お腹まわりが気になる
□ 運動不足
□ 食べ過ぎ・飲み過ぎが多い
□ 健診で複数指摘あり
□ 睡眠不足・ストレスが多い
高尿酸血症
自覚症状 ほとんどなし
初期症状 足の関節の痛み・腫れ・赤み(痛風発作として現れることも)
健康診断の数値目安 尿酸値 7.0mg/dL以上
合併症リスク 繰り返す関節炎(痛風)、腎結石、腎障害
チェック項目 □ 肉や魚などプリン体を多く摂る
□ お酒をよく飲む
□ 肥満気味
□ 家族に痛風の人がいる
□ 健診で尿酸値が高め

「いつ受診すべきか」〜目安と緊急性の判断

健康診断で「要精査」「要経過観察」となった場合や、上のような初期症状があるときは早めに受診してください。

また下記のような強い症状があれば救急外来受診を検討してください。

・胸の強い圧迫感や痛み
・片側の手足のまひや言語障害
・意識障害
・激しい嘔吐や意識混濁(糖尿病性ケトアシドーシスや高血糖による重篤な状態の可能性)

緊急時はためらわず救急を受診してください。

判定カテゴリ 項目 基準値の目安 高値/低値の場合のリスク
肝・膵機能判定 AST(GOT) 30U/L未満 高値:肝炎、脂肪肝、アルコール性肝障害、肝硬変
ALT(GPT) 30U/L未満 高値:肝障害(脂肪肝、肝炎)、薬剤性肝障害
γ-GT 50U/L未満 高値:アルコール性肝障害、脂肪肝、胆道疾患
ALP 350U/L未満(年齢・性別で変動) 高値:胆道障害、骨代謝異常、肝疾患
総蛋白 6.5~8.0g/dL 低値:栄養不足、肝疾患、腎疾患
高値:慢性炎症、脱水
脂質判定 中性脂肪 150mg/dL未満 高値:脂質異常症、動脈硬化、膵炎(極端な場合)
空腹時中性脂肪 150mg/dL未満 高値:糖尿病、脂質異常症、動脈硬化
HDLコレステロール 40mg/dL以上 低値:動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞
LDLコレステロール 140mg/dL未満 高値:動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞
総コレステロール 220mg/dL未満 高値:動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞
尿酸判定 尿酸 7.0mg/dL未満 高値:高尿酸血症、痛風、腎結石、腎障害
腎機能判定 クレアチニン 男性1.2mg/dL未満
女性1.0mg/dL未満
高値:慢性腎臓病、腎不全
eGFR 60以上 低値:慢性腎臓病、腎不全
尿素窒素 20mg/dL未満 高値:腎障害、脱水、心不全
糖代謝判定 空腹時血糖 110mg/dL未満 高値:糖尿病、糖尿病性網膜症・腎症・神経障害
HbA1c(NGSP) 6.0%未満 高値:糖尿病、血糖コントロール不良
血液一般判定 赤血球数 男性 430万~560万/μL
女性 400万~520万/μL
低値:貧血、出血、栄養不足
高値:脱水、心肺疾患
血色素量(Hb) 男性13.5~17.5g/dL
女性12.0~16.0g/dL
低値:貧血、栄養不足
高値:脱水、心肺疾患
ヘマトクリット(Ht) 男性40~50%
女性36~46%
低値:貧血、出血
高値:脱水、心肺疾患
MCV 80~100fL 低値:鉄欠乏性貧血
高値:巨赤芽球性貧血、ビタミンB12欠乏
MCH 27~34pg 低値:鉄欠乏性貧血
高値:巨赤芽球性貧血
MCHC 31~36% 低値:鉄欠乏性貧血
高値:球状赤血球症など
白血球数 4000~9000/μL 低値:免疫力低下、骨髄疾患
高値:感染症、炎症、白血病
血小板数 15万~40万/μL 低値:出血傾向、骨髄疾患
高値:血栓リスク、炎症

よくある質問(Q&A)

Q1. 症状がないのに、なぜ治療が必要なのですか?

A. 生活習慣病は、症状が出るころには病気が進行していることが多くあります。早めに生活改善や治療を始めることで、心筋梗塞や脳梗塞などの重い病気を防ぐことができます。

Q2. 薬を飲み始めると、一生続けなければなりませんか?

A. 必ずしもそうではありません。生活習慣の改善によって、薬を減らしたり中止できる場合もあります。当院では、患者様の生活やご希望に合わせて治療方針を一緒に考えます。

Q3. 健康診断で「要経過観察」と言われました。すぐに受診すべきですか?

A.「要経過観察」は、将来的に病気が進行する可能性があるというサインです。放置せずに一度医師に相談することをおすすめします。早めに確認することで安心にもつながります。

Q4. 食事や運動だけで治せますか?

A. 軽度の段階であれば、食事や運動だけで改善できるケースも多くあります。ただし、無理な自己流の方法は逆効果になる場合もあるため、専門的なアドバイスを受けながら続けることが大切です。

Q5. 生活習慣病は遺伝しますか?

A. 直接「遺伝する病気」ではありませんが、体質や生活習慣が似るため、家族に高血圧・糖尿病・心臓病などがある方は注意が必要です。

日常でできる予防と具体的な取り組み

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下の項目はどれも「少しずつでも続ける」ことが効果的です。

厚生労働省の運動ガイドでは、日常的な身体活動として「1日60分程度の歩行(=1日約8,000歩)や、週に中強度の運動を合計60分以上(週4メッツ・時以上)を目安」とする考え方が示されています。

筋力トレーニングは週2〜3日行うのが望ましいとされています。

食事:塩分の過剰摂取を控える(高血圧対策)、バランスの良い食事(野菜を増やし、加工食品や糖分・飽和脂肪を控える)。

運動:無理のない範囲で歩く習慣(まずは1日10分×数回でも効果あり)、筋力トレーニングを取り入れる。

体重管理:体重や腹囲を定期的に測る(減量が必要な場合、小さな目標を設定して段階的に)。

生活習慣:禁煙、節酒、十分な睡眠、ストレス対策。これらは複数の生活習慣病リスクを同時に下げます。

クリニックからのメッセージ

生活習慣病は「早めに気づき、少しずつ生活を整えていく」ことで大きな改善が期待できます。

一人で悩まず、健康診断で指摘があった場合や普段の変化で気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

必要な検査や、無理のない生活改善プランをご一緒に作っていきます。

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